フランス政府セクト対策一覧

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序文

このページはフランス政府のセクト(カルト)対策に関わる行政資料の日本語訳リストを掲載しています。 フランスのカルト対策とのことで日本人には全く関係のない話題だと考える方も多いと思いますが、セクト対策の過程で"創価学会","サイエントロジー","エホバの証人","統一教会"等が問題視されました。

決して日本人に関係のない話題ではありません。

ここに掲載しているのは全て専門的な資料ですが、その分専門家の方のお役に立つと思います。

海外のカルト対策を知ることはカルト問題について考える有益な資料になるでしょう。

政策の比較でも役に立つと思います。

またカルト対策はとりもなおさず宗教に係わりますから、フランスのライシテに係わる重要な問題です。 フランス法の専門家の方には90年代後半からのライシテの変化を考察する一助になると考えます。

専門化向けの資料

残念ながら、この分野に関し日本語で書かれた専門書はほとんど無いのが現状ですが、それでも少数ながらありますので最も中立的な観点から書かれた本を紹介しておきます。 フランスのライシテとセクト対策、欧州人権条約の関係について甲南大学の小泉洋一教授が極めて中立的、学術的な観点から分析した本があります。 判決文と専門的な文献に基づいての記述ですので極めて読みがたいのですが、そのぶん信頼性は高いです。 『政教分離の法フランスにおけるライシテと法律・憲法・条約』です。

一般の方向けの資料

  • この分野についてあまり詳しくないが、基本的なことを知りたい方は、先に予備知識としてセクト(GPDLライセンスによる翻訳)を読むことをお勧めします。
  • より一般向けには新聞関係の記事があります。

読売新聞のデータベース「ヨミダス文書館」で検索するとセクトに関する記事が見つかります。 また東京新聞記の記事中にフランスの事例についての言及があります。[[1]] ←残念ながらこの記事は東京新聞の記事保存期間切れで消失しました。

  • フランスのセクト対策について知るために日弁連より視察団が出まして、これに同行した毎日新聞記者が帰国後講演をしました。

こちらに講演記録がありますが、新聞記者だけあって非常に分かりやすい内容にまとまっております。中立性も高く最もお勧めの記事です。[[2]] この記者の書いた記事は毎日新聞に連載されました。毎日新聞の記事はG-searchで検索可能です。 お勧め検索ワードはフランスとセクトです。

創価学会の危険性について書いた記者を創価学会側が訴えて、全面敗訴した裁判の判決です。


  • 視察団には宗教問題に詳しい弁護士である山口広弁護士が参加しました。

氏もフランスのセクト対策に関する本を出版しております。 参考資料 本「カルト宗教のトラブル対策」 [[3]] この本の中でフランスのセクト対策が行政資料に基づいて解説されております。

またこちら[[4]]に山口氏の話が記載されています。

  •  2007年現在MIVILUDESという組織がフランスのセクト対策を担当していますが、どのような組織かは、フランス政府の公式サイトで検索すると色々と確認できます。

一例として国民議会のサイトでmiviludesとして検索すると関連文書が見つかります。 原文を知りたいと言う方はそちらを参照してください。

  • 備考
  • 山口氏は「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」の執筆に参加しております。これは弁護士が宗教団体のかかわる裁判等にあたって指針とすべき内容を提言した日弁連の公式文書です。日弁連の公式文書を執筆するには、よほど社会的信頼がないと出来ないと考えられます。また氏は全国霊感商法対策弁護士連絡会の連絡組織の事務局長です。この組織は毎年1000件以上の相談を受け付けているキチンとした団体でして、いわばこの分野の専門家。従いまして氏の記述内容はそれなりに信頼できると思います(日弁連:日弁連とはそこに所属してないと日本での弁護士活動が出来ないきちんとした団体のことです、詳しくは日弁連のサイトで)

非公式翻訳

ここに記載されている翻訳は個人で行っていることであり全部非公式翻訳です。 プロの翻訳家が翻訳していますが公式というわけではないですので誤記誤訳があっても原文の保持組織であるMIVILUDESには何の責任もありません。掲載許可ですが掲載されているのは公文書であり、フランスの公文書に著作権は存在しません。なので掲載についても許可は要らないのですが一応MIVILUDESから掲載許可は頂いております。掲載内容について特に問題はなくちゃんとした翻訳であるとの返事は頂いておりますが難しく微妙な問題を扱うので誤訳等があった場合MIVILUDESは何の責任も負わないとのことです。返事も掲載しておきます。 文中にある「私には何の問題もありません」というのは,翻訳家によればフランス風のお役所言葉で実質許可しますという意味だそうです。


翻訳許可に関するフランス政府からの返事(日本語訳)

フランス共和国

首相

MIVILUDES

パリ、2006年5月10日

MIVILUDESに関する文書3件の日本語訳についての貴殿のお手紙を確かに拝領 いたしました。 貴殿がHP上で掲載されておられることについて、私には何の不都合も見当たりません。 ただ、あくまでも個人的な翻訳であり、原文の著作者が翻訳文の内容について保証していない点については、ご承知いただきたく存じます。従いまして、翻訳や解釈のミスがある場合でも、MIVILUDESとしては責任を負えません。とりわけ微妙な内容であり、専門的な用語も含まれていますので、翻訳は非常に困難を伴うと思われるからです。 MIVILUDESのHP(www.miviludes.gouv.fr)へのリンクをインターネット利用者にご紹介いただければ幸いです。こちらでは、仏文と英文の資料にアクセスできます。

敬具

Jean-Michel ROULET 共和国委員



省庁間セクト対策室MIVILUDES関連

Miviludesはフランス政府におけるセクト対策の中心組織です。 フランス政府の公式サイトで検索するとMiviludesに関する資料や紹介が多数見つかりますし公式サイトもありますので、より詳しく知りたい方はそちらを参考にしてください。


短い通達なので読んだ方が早いです。

97年におけるフランス国内でのセクトの活動状況と海外県における 現状を記載した報告書。 各省庁に置いて取りえるセクト対策について記載している。 現在完訳しておりません。 印刷物で入手したい場合はこちらです。

    • 印刷物入手先http://www.ladocumentationfrancaise.fr/catalogue/9782110040756/index.shtml

上記URLは 「ドキュマンタション・フランセーズのホームページ」で 多くの 公的報告書をPDFで公開している点等、その充実が目に付く、官報を扱う (刑事立法研究会のサイトより解説を引用。

新聞記事よりは多少信頼性が劣りますが2005年度報告書の翻訳記事があります。 [[5]] この翻訳物の信頼性を確認するためいつかは別口で同じ部分を、翻訳家に頼んで翻訳してもらい翻訳の信憑性をチェックする予定です。


翻訳のダブルチェックを行いました。下記は甲南大学の小泉洋一教授に翻訳物の再チェックをしていただいたものです。ほとんど変化はなく単語の訳し方の差が中心です。

法律

本文の翻訳はプロが行ったものの、引用されている条文の解説(313-1条~313-3条(313-1~13詐欺、競売妨害、刑罰に公契約からの排除あり)の部分は、「法務大臣官房司法法制調査部編:フランス新刑法典」に基づいて素人が付加したものであり不十分な状態です。 訂正してくださる方を募集しております。 フランス政府の公式法律検索サイトLegifranceより原文が入手可能。 LegiFranceがどんなサイトかは、詳しく解説したページが多数ありますのでそちらに譲ります。フランス法や判例を調べる時欠かせないサイトでして。検索して調べて見ることをお勧めします。

法案

未訳

  • 宗教セクト委員会による1月10日の報告書
    • 東京朝刊 外電B 04頁 646字 03段 【パリ10日=鶴原徹也】

の記事にこのような報告書が存在することが記述されているが原文は未確認。記事の詳細については読売新聞の新聞記事検索サイト、ヨミダス文書館でご確認ください。

その他

国民議会「フランスにおけるセクト(カルト)教団」 : 調査委員会リポートno.2468 情報資料 国立国会図書館に日本語訳あり。有名なフランス政府によるセクトのリストとはこれを指します。

この翻訳の正確性を確かめるための追翻訳を実施中です。科学の世界ではよく行われるのですが実験の正確性を確かめるために何度も実験を再現し検証するのは常識です。翻訳においてもそれを行おうというわけです。

原文

報告書の要旨を纏めると以下のようになる。

  1. 最近セクト被害やそれによる社会問題が増加している
  2. 問題の多い団体を10の基準に適合するかどうかで選別しリストアップした。
  3. 司法警察の記録を中心に、それと人権団体の仲介をしている団体への被害報告も加えて選別した。選別基準はフランス国内での実害、人権侵害、犯罪性である。
  4. セクトは大衆の受容を満たしている面もある。またたいていの団体で少数ながら人生が向上しているひともいるので単純に否定は出来ない。そして異文化排斥にならないように注意しなくてはいけない。(後フランスはライシテの概念が憲法に盛り込まれているので教義や宗派で団体を差別できない)
  5. 全てのセクトが危険なわけではないが、被害が多いのが問題であり特に危険な団体を選別しなくてはならない。
  6. どのようなセクトがあるのかの説明、代表的なセクトとセクト側の主張を説明。またほとんどのセクトは1901年法による簡易設立で国家がきちんと認めた団体ではないとの説明。95年時点ではきちんとした宗教法人格どころかより簡易の法人格を持っている団体は一つもない。
  7. セクトを取り締まるための法整備が十分ではなく(この当時フランスは組織犯罪全般に対する処罰が甘かった、その中でもセクトに対する法は未整備)取り締まりも十分でないため刑法などをしっかり適用して犯罪は取り締まるべきである。
  8. 脱税が非常に多いのに徴税が不十分なのでその辺もしっかりして欲しい。
  9. 被害の増加に対し監視組織が十分でないので対策を講じるべきである。

と文中で主張している。

この報告書以降、司法省、国民教育省、青年スポーツ省、内務省、雇用連帯省などセクト問題に関係する各省庁がセクト対策を打ちだした。 セクトに関する関係省機関や議会と連携しながら、通達により実行に移された。「小泉洋一著政教分離の法」より抜粋 ライシテの原則に反するのではないかとの意見も存在し慎重論も存在した。

  • 以上終わり

その後の流れは各省庁の犯罪対策としてセクト対策がなされた。 セクトと名指しされた複数の教団が、「フランスではキリスト教を守るために一部の信的な連中がセクト対策を推し進めたのだ」と主張したが、これは完全なデマである。 フランス政府の行いは一部ではなく各省庁の連携で行われた。 多少の政治的パフォーマンスもあったようだが、基本は犯罪対策である。

またフランス政府がこの報告書に置いて教義を理由にセクトを選別したというデマがある。 このデマが出回った原因であるが、これは報告書中にセクトを選別するのにどのような基準を用いるべきか複数候補が列挙され、この中から危険性を選別基準にしたものが採用されたのであるが、採用されなかった基準に「教義等その他を理由にした場合」が記載されていたためである。 どの基準を採用するか、という記述が無視されたために出回ったデマである。

(WikiSourceにふさわしくない記述かもしれないので気になった方はこの文章だけ削除の検討をしてください)

参考文献

  • B.ウィルソン 『宗教セクト』 池田昭訳 恒星社厚生閣 1991年 ISBN 4769907206
  • 小泉洋一 『政教分離の法フランスにおけるライシテと法律・憲法・条約』 2005年 ISBN 4-589-02857-3
  • 田畑茂二郎 竹本正幸 松井芳朗 薬師寺工夫 『国際人権条約・宣言集[第二番]』ヨーロッパ人権条約を掲載

外部リンク

関連項目